ピラティス
「私のやり方は正しいんだ。私を見てほしい。アスピリンを飲んだことはないし、ケガをした日は一日だってない。国中(アメリカ)が、世界中が私のエクササイズを行えば、もっと幸せな毎日が送れるはずだ。」(ジョセフ・ピラティス 86歳の言葉)
専門のスタジオに通っていたり、調べたことがある方以外は知らない方も多いと思いますが、ピラティスというのは人の名前で、ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス(1883-1967)からとられたものです。
ピラティス氏は生前「コントロロジー」という名前でこのメソッドを作りましたが、死後、弟子の方々が「ピラティス」と命名して普及させていったそうです。
ちなみに、私たちの見解によりますと「コントロロジー」と「ピラティス」は似て非なるものです。
つまり源流であるピラティス氏のメソッドでは無く、お弟子さんたちの作り上げた「コントロロジーベースのピラティス」という別のメソッドが普及しているという認識です。
と、分析はここまでにして。また別に機会にお話しします!
ピラティスは、一般的に以下のような目的で実施されています。
・姿勢改善
・柔軟性の向上
・シェイプアップ(引き締め)
・スポーツパフォーマンスの向上・補強
・ダイエット(部分痩せ)
・美容
・リハビリ
ピラティスは90年代後半~00年代にかけてアメリカで爆発的な普及をして日本に入ってきたと言われています。
そのきっかけはハリウッド女優やセレブによる発信でした。
では実際どのように使っているのか、ご説明致します。
目的
PMAという、ピラティスの国際標準を定める組織のHPから抜粋します。
"
理想的な姿勢を学び、理想的な身体の動きを学び、そしてそれを一生の記憶として身体に染みつかせることによってQOLの向上、慢性的な痛みの改善、さらには障害予防やパフォーマンスの向上を導き出すことが出来る。
"
引用:PMA Christine Romani Ruby
ピラティス≠コアトレーニング≠体幹トレーニング
このメソッドはそういった鍛えることを目的としているのではなく、
その先にある「理想的な姿勢、理想的な動き」
この二つを学ぶことによって、生活の質の向上、痛みの改善・予防、機能の向上を目指しているわけですね。
メリット
・ニュートラルポジション(お互いの関係がどちらにも偏りのない状態)の習得。
・体幹部の安定性の向上。
・分節運動による関節可動域の向上。分節性とは、例えば腕だけ動かす、とか脚だけ上げる(いずれも、体幹部の不動を保つ)などです。特に代償動作の大きな部位に対して有効です。
・骨格筋に対して生理学的な適応をもたらし、筋持久力を向上させる。
・主に臥位(床に寝ころんだ姿勢)の為、適応者の範囲が広くその分安全といえる。
デメリット
・ほとんどが臥位のエクササイズなので、立位での姿勢、運動の教育が足りない。
・体幹部を働かす意識と運動がメインなので、末梢の作用が考慮されていない。
・随意性の高い運動が優位になるため、不随意筋の機能不全が起こる場合がある。
このようなメリットをもたらす運動なので、PMAの掲げる「痛みの改善・予防、機能の向上」とそれに伴う「生活の質の向上(QOL)」があるのですね。
ピラティスの原点が、収容所の傷病患者に対して行った運動という事を考えると納得できますよね。
逆に考えると、このことがデメリットになることも容易に想像がつくのではないかと思います。
ピラティス指導者の間でよく話題になるのが、圧倒的に立位でのエクササイズが少ないということ。
もともと、狭い収容所の、狭いベッドで、もしかすると歩行もできないような方へ指導していたかもしれない方法ですので、基本的に動作や必要なスペースは小さくなっています。
しかし、改めて見直してみると「痛みの改善・予防、機能の向上」とそれに伴う「生活の質の向上(QOL)」ですから、その通り何も間違ったことも拡大解釈も、していませんね。
QOLはある程度上げることは出来ても、ADLを上げることには直接言及していないですから、やはり使いどころを見極めないといけないメソッドであることは間違いありません。
また、末梢の作用が考慮されていないという部分についてです
ちなみにこれは原理なのですが、人間の身体は末梢が働くから→体幹が作動するのです。
ピラティスのように体幹の意識が強いプログラムは、その原理と180°逆転してしまうので必ず不具合が出て、最終的には破たんします。
これはピラティス氏の生い立ちを考えるとわかるかもしれません。あくまで予想ですが。
ピラティス氏は体操選手の父をもち、自身はボクシングの選手、さらにはサーカス団にも所属していたという、鍛えこまれた身体をもち、その能力も人一倍だったのでしょう。
そして今よりも圧倒的に不便な生活環境の中、戦争まで経験して生き抜いてきた人間です。
お分かりの通り、私たち一般人(高い身体能力をお持ちの方は除き)とは到底基礎的な能力が違うのです。
ピラティス氏の末梢は、すでに抜群に開いている(使えている)のです。
全然流行っていなかった当時、「コントロロジー」を偉大なダンサー達が取り組んでいたのも、逆にある程度の身体能力をもった人間だからこそかもしれません。
最後に、随意性が高くなってしまうお話です。
これはピラティスの特性上切っても切れない問題なのですが、例えば仰向けで、脚を上げるとします。
ピラティス 骨盤と腰椎の安定をキープ→脚の挙上
となるはずですが、先ほども申し上げた通り本来の仕組みと逆なのです。
脚を挙上するから、骨盤と腰椎の安定がキープされるのです。
意識しなくてもいいのに、そこが何らかの機能不全を起こしている前提で、あえて意識することで改善するコンセプトの運動ですから、逆に言うと意識しなければできなくなっていきます。
そしてこれが最大の難点ですが、骨盤底筋。
いつからなのでしょうか。ピラティス氏は言っていなかったはずです。
骨盤底筋という、無意識に働いてほしい重要な部分に意識を入れてしまう恐ろしさといったら。。
ピラティスは、その知名度の上がり方故に、解釈の違いが生まれてしまいました。
本来このメソッドは非常に有効であり、ぜひ勉強しておきたいものです。
かくいう私もいまだにロールアップを探求しております。
もしも自分のピラティスに疑問を感じるようなことがあれば、お気軽にご相談下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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